平成15年2月13日
品川区長 高 橋 久 二 殿
〒113-0034
東京都文京区湯島1-12-6 高関ビル3F
社団法人 日本ナショナル・トラスト協会
会 長 愛 知 和 男
電話 03(5817)7541
|
旧正田邸についての緊急要望
謹啓 春寒の候ますますご清勝のこととお喜び申し上げます。
日頃は当協会の活動にご理解とご支援を賜り厚く御礼を申し上げます。
さて、貴区におかせられては、旧正田邸解体後の跡地を購入し記念公園として整備されるご計画と伺っておりますが、ぜひとも旧正田邸を土地と一体としてご購入の上、この問題に関心を寄せている国民と共にその保存活用をお図り頂きたく、ここに切にお願いするものであります。
現皇后美智子様のご生家として、昭和史のひとこまを大きく飾ったこの邸宅には、社会史的な価値があるのみならず、多くの国民から皇室への敬愛と親しみの情が寄せられているシンボル的存在でもあります。
さらには、旧正田邸は日本建築学会が編纂した『日本近代建築総覧』において、「特に重要なもの、あるいは注目すべきと考えられる作品」に選定された、昭和初期の和洋様式併存邸宅として残存例の少ない貴重な遺構であります。
旧正田邸をナショナル・トラスト(国民環境基金)方式によって、保存活用を図りたいと望む国民運動は全国に広がり、既に全国各地から8万8千名(2月12日現在)の署名が集まっております。
署名した人々は旧正田邸が保存されることになった暁には、これを維持管理するための組織を発足させ、全国民からの支援をもとに活動していく方針と聞いております。
当協会と致しましては、この運動を全面的に支援し協力して参る所存であります。
この問題の国民的関心を充分にご考慮の上、高橋区長殿の賢明なご決断・ご高配を要望いたします。
謹白
|