しれとこ100平方メートル運動25周年記念第20回ナショナル・トラスト全国大会宣言

( 知 床 宣 言 2002 )

ナショナル・トラスト運動は、「われわれが生きているこの地球は未来の世代からの預かり
ものである」という理念を基本にした市民運動である。われわれはいまの地球の環境を適
切に守り、子孫に手渡さなければならない。
 ナショナル・トラスト運動は自発性と先見性にもとづいた市民の活動である。本来、地域
に根ざした運動として各地で取り組まれ、数多くの成果をあげてきた。しかし、地域での地
道な活動が広範な効果を挙げるには制度の改革など国民全体の理解と支援が求められる
のである。
 ナショナル・トラスト運動によって守るべきものは究極的にはその土地の「風景」である。
風景には単なる自然だけでなく、今そこに住んでいる人々の営みとそこに住んできた先人
たちの残したものも含まれるからである。「風景」保全のためには土地の所有のみならず、
土地の利用や公開、管理にまで関与していく必要がある。
 世代間衡平(こうへい)の理念に立てば、いまの地球をただ守るだけではなく、不幸にして
破壊された環境があれば、これを再生して次の世代に受け渡していくことも大切な仕事で
ある。知床の25年は、まさしく自然再生の壮大な挑戦であった。
 さらに地球環境問題の視点に立って考えると、問題解決にあたって各地域での取り組み
が果たすべき役割は極めて大きい。森や里山、棚田や牧野、湿地や海岸線、歴史的建造
物や町並みなどの保全運動は、そのまま持続可能な地球環境保全運動の一部である。
 21世紀は前世紀に失われた環境を取り戻す「環境再生の世紀」でなければならない。21
世紀のナショナル・トラスト運動は、
  (1)経済的に自立し
  (2)ナショナル・トラスト運動を発展させる法制度及び税制度をつくりあげ
  (3)土地の保有や維持管理を着実におこなう仕組みをつくり
  (4)保全地の賢明な活用を追究するとともに
  (5)環境教育と学習の場とし
  (6)市民及びNPO、事業者並びに行政の協働を進めながら、発展していくべきである。
人と自然が共生できるライフスタイルを実現し、環境再生の戦略立案へ向けて、ナショナル
・トラスト運動を進めるわれわれはその一翼を担う決意である。
このためには社団法人日本ナショナル・トラスト協会の構成団体を飛躍的に増やし、他の
多様な環境保全運動との緊密な連携も進めていかなければならない。さらにアジア諸国
をはじめ世界各国との国際協力を推進すべきである。
 われわれは今日、決意を新たに、未来の世代から預かっている環境を立派に子孫へ受
け渡していくことができるよう、関係者一同全力を尽くすことを誓うものである。
社団法人日本ナショナル・トラスト協会設立20周年の記念大会にあたり、ここ知床の地で
宣言する。

2002年9月15日

しれとこ100平方メートル運動25周年記念
第20回ナショナル・トラスト全国大会参加者一同


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