第8分科会

子どもたちのための入門講座

 

子ども向けの柿田川観察会。柿田川の素晴らしい環境の中で楽しんだあとは、ナショナル・トラストのマンガやネイチャーゲームで遊びましょう。子どもだけでも、大人だけでも、親子での参加も、みーんな大歓迎です。

進行役

細倉哲穂 

 


 

「入門講座って、なんの入門講座か知っている人?」と最後に参加者のみんなに聞いてみたら、知っている人がいなかった。まあそれでもいいか。9時半からの3時間、飽きることなく子どもたちと楽しんだので。参加者には、地元のみどりの少年団の子どもたちが多かった。進行役は柿田川みどりのトラストの細倉さんです。自然観察解説にはとても慣れていらっしゃる、植物の専門家です。植物だけでなく、先生をしていらっしゃるので、子どもたちとのやりとりにも愛情がたっぷり。子どもの才能の目を摘まないように、何を見せても「すごいの見つけたね、すごいねぇ」という細倉さんこそすごい!

観察のコースは簡単。まずは福祉センターの2階のホールで集合。そこで細倉さんから「2つの宿題」が出ました。葉っぱを拾うこと、それからどんぐりを3つ拾ってくることです。柿田橋の上から川をながめた後、橋のわきから川に降りて、やませみの巣穴や藻を観察しました。アメリカセンダングサがいっぱいあって、みんな身体中の洋服にくっついた。コセンダングサをよおく観察しました。どうしてこんなにくっつくのかな。逆向きの小さなとげのようなチクチクが、くっつく理由のようでした。

次に、細倉さんはある葉っぱをとって、それをもんでみんなに匂いをかがせました。「これを臭いと思う人」と聞いたら、10人ちょっといました。反対に「いい匂いだと思う人」と聞いたら、また10人ちょっといました。でもこれは「クサギ」というそうです。きっとこの名前をつけた人は臭いと思った人だったのでしょう。今回は引き分けだったので、もし臭くないと思う人がこれを発見したとしたら、どうなっていたかな。「イイニオイギかな?」と誰かが言いました。

もう少し川沿いを歩き、クルミの木の下で落ちているクルミの実を拾いました。採ったクルミの実を川の水で洗う子もいました。ミントを摘みました。ヒンジモミシマバイカモナガエミクリカワジシャの違いを勉強しました。「カワニナとったよ」という女の子もいました。カラスウリを採る人もいました。ミシマバイカモは、きれいでしかも流れている水でしか育たないので、この川をいつまでも守っていけたらなと思いました。
※いずれもここにはたくさんありますが、全国的には絶滅が危惧されている植物です。
それから、階段をあがって神社でアラカシの観察をしました。アラカシの葉は、下の方にはギザギザがありません。黄色くなったイチョウの葉やアラカシのドングリを拾い、福祉センターに戻りました。

福祉センターでは、押し葉とやじろべえと竹笛を作りました。押し葉は、はがき大の厚紙に、紅葉できれいになった葉っぱを載せ、さらに自分なりのアレンジで葉っぱに穴をあけたり、葉っぱの周りに絵を描いたりして、上をビニールの粘着シートで覆いました。オリジナルカードのできあがりです。やじろべえはなかなか難しい。まずはろうそくの火の上で、竹ひごの中心をあぶって湾曲させます。それをやじろべえの中心にして、そこに錐で穴を開けたどんぐりを3つ、中心と左右に差します。きちんとやじろべえらしく振れるものと、なんだかまっすぐのままのやじろべえなどもありましたが、どれも愛嬌のあるものになりました。

そしてついに竹笛です。これはつくったというよりは、細倉さんが前の晩、用意してくださった、切り込みの入った竹の筒に、フィルムを差し込み、それを竹の口の形に沿って切り取るだけ。口でくわえて思いっきり吹くと、・・・ぶーっ」というおならのような(すいません。でも本当なのです)大きな音が出ます。太い竹からは低い音が、細い竹からは高い音が出ました。みんながおもしろがっていっせいに吹くので、部屋中大きな音が響きわたりました。とてもにぎやかです。笛ができたので、みんなで記念撮影。ナショナル・トラストマンガ「おじいさんの森」をおみやげにプレゼントしました。子どもたちから学ぶことの多かった、あっという間の3時間でした。
 
 
 
 

(記録:社団法人日本ナショナル・トラスト協会 進士万里子)